『手品師』の話

あるところに、腕はいいのですが
あまり売れない手品師がいました。

もちろん、暮らし向きは楽ではなく、
その日のパンを買うのもやっと
というありさまでした。

「大きな劇場で華やか手品をやりたいなあ。」

いつもそう思うのですが、
今の彼にとってはそれは夢でしかありません。

それでも手品師はいつかは大劇場の
ステージに立てる日の来るのを
願って腕をみがいていました。

ある日のこと、
手品師が町を歩いていますと
小さな男の子がしょんぼりと道に
しゃがみこんでいるのに出会いました。

どうしたんだい。

手品師は、思わず声をかけました。
男の子は、さびしそうな顔で、
お父さんが死んだあと、
お母さんが働きに出て、
ずっと帰ってこないのだと答えました。

そうかい。それはかわいそうに。
それじゃおじさんが
おもしろいものを見せてあげよう。
だから元気を出すんだよ。

と言って、手品師はぼうしの中から
色とりどりの美しい花を取り出したり
さらにハンカチの中から白いハトを
飛び立たせたりしました。
男の子の顔は明るさを取りもどし、
すっかり元気になりました。

おじさん、あしたも来てくれる?

男の子は、
大きな目をかがやかせて言いました。

ああ来るともさ。
手品師が答えました。

きっとだね。きっと来てくれるね。

きっとさ。きっと来るよ。

どうせひまな体、あしたも来てやろう。
手品師は、そんな気持ちでした。

その日の夜、
少しはなれた大きな町に住む、
仲のよい友人から、
手品師に電話がかかってきました。

おい、いい話があるんだ。
今夜すぐそっちをたって、
ぼくの家に来い。

いったい急にどうしたというんだ。

どうしたも、こうしたもない。
大劇場に出られるチャンスだぞ。

えっ、大劇場に。

そうとも、二度とないチャンスだ。
これをのがしたら、
もうチャンスは来ないかもしれないぞ。

もう少し、くわしく話してくれないか。

友人の話によると、今評判の
マジックショーに出演している
手品師が急病でたおれ、
手術をしなければならなくなったため
その人の代わりを探しているのだと
いうのです。

そこで僕は君を推薦したというわけさ。

一日伸ばす訳にはいかないのかい?

それはだめだ。手術は今夜なんだ。

明日のステージに穴を開ける訳にはいかない。

そうか……。

手品師の頭の中では、
大劇場の華やかなステージに、
スポットライトを浴びて立つ自分の姿と、
さっき会った男の子の顔が、
代わる代わる浮かんでは消え、
消えては浮かんでいました…

このチャンスを逃したらもう二度と
大劇場のステージには
立てないかもしれない。

しかし明日はあの男の子が
僕を待っている。

手品師は、迷いに迷っていました。

いいね、そっちを今夜立てば、
明日の朝にはこっちに着く。
待ってるよ。

友人はもう、
すっかり決めこんでいるようです。

手品師は受話器を持ちかえると、
きっぱりと言いました。

せっかくだけど明日は行けない。

えっ、どうしてだ。
君がずっと待ち望んでいた
大劇場に出られるというのだ。
これをキッカケに君の力が認められれば、
手品師として売れっ子になれるんだぞ。

僕には明日約束したことがあるんだ。

そんなに、大切な約束なのか。

そうだ。
僕にとっては大切な約束なんだ。
折角の君の友情に対して、
すまないと思うが……。

君がそんなに言うなら、
きっと大切な約束なんだろう。
じゃ、残念だが……。また会おう。

翌日小さな町のかたすみで、
たった一人のお客を前にして
あまり売れない手品師が、
次々とすばらしい手品を
演じていました。

 

 

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これをお読みになって

どう感じましたか?

 

・子供との約束を守るってステキだなー

・潔く素晴らしいなー

・金に走らないのは良き事だなー  

でしょうか?

 

 実はこのストーリーは
「道徳」の教科書に載っていて、
文末にはこんな質問が載っているらしい。

「手品師の素晴らしいところはどこだった?」

「誠実に生きるとはどのような事でしょうか?」

 

うーん、何とも言い難い感覚が…。

ひとまず傍に置いといて 

僕が思ったことを書きたいと思います。

 

「大劇場に出たいなー」レベルならこの結果が最適だよね。
「絶対に出る!」じゃないわけだから、声がかかっただけでもラッキーじゃん。

でも友人の推薦を反故にするとは、よっぽどじゃね?
長年自分の夢を聞いてくれていた相手の推薦だよね。
なんじゃい?!って感じだわ。 

喜んでくれた子供のメアドかLINE聞いときゃよかったね。
時代が違う?
だったら置き手紙でも立て看板でもコンタクト方法はいくらでもあるじゃん。

そしてこう伝えてやんなよ。

おっちゃんの長きに渡る夢が叶いそうなんだ!
だから今日は●●劇場までおいで!
僕の晴れ姿君に見せたいんだ!

ってね。 

夢を叶えた姿を見せるおっさん。
かなり格好いいと思うけどなー。

そして瞬く間に彼の磨かれた手品は人々を魅了し、
多くの人々を驚かせ笑顔に変えていきました。

 

そしてその数年後、
今その手品師の傍で目を輝かせながら
磨かれた手品を披露する青年。

そう、あの時の少年が今は子供達を魅了し続けています。

ってさ、 もっとドラマティックじゃね?

  

ところで…

「道徳」の教科書でいう誠実って何かしら?

大舞台で多くの人々を…ってさ

「夢」であり「自分との約束」なワケじゃん。

それを諦めて他者との約束だけは守れと?

「清貧」を良しとしろと?

バカ言っちゃいけないよ。

喜ばれる数が多ければ多いほど

祝福=収入が上がるはずや。

腕を磨いているだけでどうするんじゃぃ

披露する場=現場だ。

より多くの人前に立つ事こそ自分を磨き叶える方法だ。

現実社会でソツなく目立たず逆らわず
飛び出さずにただただひっそり・・・

自分との約束も果たそうとせず、
だから自信を失い続け、
誰かと比べては
またまたできない自分を傍観しながら正当化…
でも腹の底ではできない自分に矢を指して、
できてる誰かを妬んで…

そんな暮らしっぷりはどうだかなーぁ

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 ストーリーとマギー師匠達は何の関係もございません。

悪しからず。